「地獄じゃどいつもタバコを喫う」/ジョン・リドリー
<books>
~逃げても地獄~
パリス・スコットはコンビニの夜勤店員。毎日同じことの繰り返し。夢もあったし、彼女もいた。でも今は・・・。偶然ていうのはすごいもんだ。ロック・スターの未発表テープを手に入れた。しかも奴はとうに自殺したんだ。それから同居人が持ち込んだヘロインまで・・・。これで確定!逃げる!逃げる!どこまでも逃げる!
ジョン・リドリーはすでに映画の脚本家として本領発揮(「Uターン」「スリー・キングス」「アンダーカバー・ブラザー」などの脚本・原案)。そのポップさ・ダークさ加減は相当にいかれてて、楽しめる。この作品だって映画化したらさぞ面白かろう。
そのポップで、ダーク色濃い作品故か、黒いジム・トンプスンと言われているとか(リドリーは黒人)。でもそう言われてトンプスンと比べてしまうのは酷なので、あまり気にしないほうがいい。
人生の楽観主義を否定し続けるのがノワールなら、まさに作者はノワールの申し子で、物語の展開は主人公を、または読者を徹底的に打ちのめす。
リドリー作品にはユーモアがいつも漂う。そのユーモアの先にあるのがどうしょうもない絶望と恐怖。
ユーモアのないノワール小説は好きになれない。主人公の恐怖をあえて滑稽さを交えて描くからリアル感も出るし、作者の感情が客観的に主人公に注がれて、一層感情移入できる。作者が読者より先に感情的になることを防ぐ。要するに悲劇を悲劇的に語るんじゃ芸がないでしょってこと。当たり前のことだけど・・・。
とにかくこの人の作品はポップ。難しいこともないので、さらりと読めるのだ。
登場人物・舞台も、麻薬の売人やら女殺し屋、田舎のレストラン、ラスベガス・・・など映画チック。うだつの上がらない普通の人間が、偶然いろんな奴に追われる、っていうのもありがち。それらを子気味よく、そつなく結末まで引っ張るのは作者の腕の見せ所。
映画と小説という舞台で、リドリーの活躍にこれからも期待。
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